憧れはアメリカで薬剤師になる事?-年収は日本より高い-薬剤師のお仕事.com [薬剤師の役に立つ情報]

それでは今週の薬剤師情報です。


第4回の『 今の薬剤師を取り巻く状況 』のお話は、
【アメリカの薬剤師との比較について】についてです。


西洋医学発祥の地であるヨーロッパや、医療先進国であるアメリカ。
これらの国々との比較は、薬剤師に関してもよく耳にする事柄です。


その中でも、取り分け日本とよく比較されるのがアメリカの薬剤師事情。
大きな違いとして挙げられるのは以下の3点


1.アメリカの薬剤師の平均年収は日本の倍以上

2.アメリカには調剤助手がいて、薬剤師は服薬指導・相談に専念出来る

3.アメリカにおいて、薬剤師は尊敬される職業で上位に位置する



日本の薬剤師の地位向上のため、上記のようなアメリカに一歩でも近づこう!
というお話を耳にする事がありますが、これは間違い。

日本とアメリカでは、そもそも土壌が違うのです。
また、働き方にも大きな違いがあります。

では、一体何が違うのか?それは、


【国民皆保険制度】


この一点に尽きます。

今、オバマ大統領の医療改革で皆保険制度を目指しているアメリカでは、

《貧しい人々は民間の高騰する保険料を支払えず、保険に加入していない》

という社会的な背景があり、人々はそう簡単に病院に行けない事情があります。
対して日本では、子供が熱を出したから総合病院に…といった話もよく聞きますね。

膨大な医療費を請求される、保険未加入の人々は、費用を抑えるために、
まず町の薬局・ドラッグストアで薬剤師に相談をします。
これが、薬剤師が尊敬される職業である所以です。


また、アメリカの町の薬局は、ほぼ全てが日本でいう調剤併設型ドラッグストアです。
薬剤師は、この店舗の責任者として、朝早くから夜遅くまで、患者・顧客の相談に乗ります。
この立場・勤務形態の違いが、日本の倍以上の平均年収の大きな理由です。

そして、【調剤補助・助手が調剤を担う=人件費が安く抑えられる】という事も、薬剤師の給与に影響を与えています。


上記のように、アメリカの薬剤師が日本と違う待遇・状況に置かれているのには訳があるのです。
国の医療政策が異なる以上、同じような状況を求めるのは無いものねだりと一緒です。

そして、よく想像してみて下さい。

確かに、調剤補助がいてくれれば、仕事の内容や労働内容の軽重は都合の良い方向にシフトするでしょう。
しかし、仮に今薬剤師8人、事務4人で回している、処方箋一日平均200枚程度の薬局があったとして、
調剤補助制度を導入すれば、薬剤師2~3名、補助5~6名、事務4名となり、服薬指導が薬剤師の主な業務になります。

上記の例が何をもたらすのか、数字を見れば一目瞭然ですね。

薬剤師が5人、職を失います。

では、この3名に残る薬剤師とは、どんな人間か?

それは、患者様とのコミュニケーションスキルに長け、良好な関係を保ち、指名されるような人。
そして、薬局(会社)側の意向にも理解を示し、薬局になくてはならない存在である事。


あなたは、今いる薬局で上記のような人材であると自信を持って言えますか?



そして、医療費の削減が重要課題である今の日本では、

薬局の経費が減る → じゃあ調剤報酬や薬価をもっと落としてもいいよね?

といった流れが近い将来訪れる事は想像に難くありません。
その時が来たら、残れる数名であるために。今、何が必要なのでしょうか?


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